日本刀の良い出来とはなんでしょう
出来の善し悪しは、本来であれば総体的に観て判断するべき物でしょうが、「地鉄優先」派と「刃文優先」派とに分かれるのは良くあることです。 鑑賞するにあたっては、当然自分の好みが先に立ちますから「地鉄優先派」は自分の好みにピッタリな地鉄に出会えれば、わずかに刃文の濁りがあろうと、その刀を「良い出来だ!」と賞賛し、「刃文優先派」はその逆。誰が見ても惚れ惚れするような刀もたまにはありますが稀で、金額的にもおいそれとはいかないのが現実。
古い刀になるとその「派閥」はもっと枝分かれし、なおかつ個人的趣向が強くなるようです。私ども業者が刀を仕入れる際や原稿を書き上げる際も、少なからず個人の趣向が反映されてしまいます。勉強会や書籍等で「名刀の定義」は説明されていますが、どこか抽象的で分かりづらいというのが現実ではないでしょうか。
では初心者の方が、良い出来を判断する基準は何でしょう?たくさんの書籍を読むのはもちろん有効ですが、やはり現物にはかないません。各地の刀屋さん、展示会、博物館などで見ていく内に、ご自身のなかで「閃く」ものがきっとあります。それは姿だったり刃文、地鉄だったりさまざまだと思いますが「あなたの中の良い出来」は最優先されるべきで、また、そのような思いで手に入れた一振りは永きに渡って鑑賞できると思います。最初の基準は自分の好みから始まるのではないでしょうか。
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