公益財団法人 日本美術刀剣保存協会 審査規程より抜粋
日本刀の鑑定書を発行している機関として世界より認められている日本美術刀剣保存協会。ここでは審査規定を公開しています。刀剣に関する部分のみを抜粋してご紹介します。全文は協会ホームページよりご確認ください。
審査規程第16条第1項に定める審査基準
- 昭和57年9月16日改正
- 平成18年2月23日改正
- 平成23年3月10日改正
- 平成23年8月 1日改正
第1 刀剣の審査基準
【保存刀剣】
- 江戸時代を下らない各時代・各流派の作で銘の正しいもの、若しくは無銘であっても年代・国・系統を指摘し得るもの。
- 前項に該当するもので、地刃に多少の疲れ、あるいはキズがあっても鑑賞に堪え得るもの。
- 地刃に補修のある場合は、美観を著しく損なわない程度のもの。
- 明治・大正時代の刀工で出来の良いもの、またはそれ以降の物故刀工の作は、在銘で出来のよいものに限る。
- 南北朝時代を下らない著名刀工の在銘の作で、資料性が高く、かつ地刃や茎の荒が少ない場合の再刃(焼直し)は、その旨を注記して合格とする場合がある。
- 所定の証書を有し、申請時に提示して申請された物件が合格に至らなかった場合は「現状」とする。
- 在銘作は、銘字及び作風より真偽を俄かに決しかねるもの、また無銘作で適切な極めを容易になしえないものは「保留」とする場合がある。
- 審査時において美観を損なう大きなキズ・欠点が確認されたものは不合格とする。
- 生存する作家の作品は、審査の対象外とする。
【特別保存刀剣】
- 特別貴重刀剣、甲種特別貴重刀剣並びに保存刀剣のなかで、さらに出来がよく、保存状態もよいもの。ただし、下記のものは合格の対象とならない。
- (1)在銘・無銘にかかわらず、疲れ・キズ・補修などが目立ち、美観を損なうもの。
- (2)審査時において、美観を損なう大きなキズ・欠点が確認されたもの。
- (3)江戸時代の著名でない刀工の作で、出来が中級以下のもの。
- (4)再刃のもの。ただし、著名刀工の在銘作で、資料性が極めて高いものについてはその旨を注記して合格とする場合がある。
- (5)室町時代及び江戸時代の無銘作。ただし、著名刀工の上作と鑑せられ、保存状態の優れたものについては合格とする場合がある。
- 明治・大正時代の刀工で出来のよいもの、またそれ以降の物故刀工で出来のよいものの中で、その刀工の傑作と認められる場合、合格とさせることができる。
- 所定の証書を有し、申請時に提示して申請された物件が合格に至らなかった場合は「現状」とする。
【重要刀剣】
- 特別貴重刀剣、甲種特別貴重刀剣並びに保存刀剣、特別保存刀剣のうち、平安時代以降江戸時代までの作で、特に出来が優れ、保存状態も良好で、国認定の重要美術品に準ずると判断されるもの。
- 前項のもので、南北朝時代を下らぬものは、無銘作でも合格の対象となる。また、室町時代及び江戸時代の作は原則として生ぶ茎で在銘に限る。
【特別重要刀剣】
- 重要刀剣のなかで、さらに一段と出来が傑出し、保存状態が優れ、資料的価値が極めて高く国認定の重要美術品の上位に相当すると判断されるもの。 もしくは国指定の重要文化財に相当する価値があると考えられるもの。
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