刀装具【鐔・縁頭・目貫・小柄】 鉄地遊狗子図源氏香透かし鍔- Tetsu ji Yu-kushi zu Genji-ko sukashi Tsuba -
- 縦/height7.7cm
- 横/width7.4cm
- 厚み/thickness0.4cm
- 重量/weight134g
- 正価/price売却済-Sold-
鉄地に赤銅で、円山応挙の「狗児」を彷彿とさせる、ころころとした愛らしい子犬の姿を描いた鐔である。からみ合って遊ぶ二匹の子犬の姿は司馬江漢の「牡丹遊狗図」のようである。江戸中期に確立されたこの応挙の愛らしい犬は、それまでのやせ細った野良犬然とした姿から一変し愛おしいものとして描かれている。
子犬と共に櫃孔にも赤銅をあしらい、左上に窓のように源氏香の意匠を透かす。香合わせ、薫物合せは平安時代より宮廷で行われていたが、鎌倉から室町時代になると芸道の一つ「香道」として確立してゆく。源氏香(組香の一種)の成立は享保頃と云われている。縦五本の線を基本に構成されており、香が同じものか違うものかを当てるのに紙につけた符号である。必要でないものを全て削ぎ落とした中に残る雅。この意匠はさまざまなところで用いられるようになり、家紋をはじめ、茶器、着物、蒔絵そして刀装具にも見られる。本作に出てくる源氏香は第二十八帖野分である。野分とは台風の古名である。