刀装具【鐔・縁頭・目貫・小柄】 金無垢地親子獅子図目貫 - Kinmuku ji Oyako-jishi Menuki -
- 縦/height1.7cm
- 横/width3.3cm
- 厚み/thickness0.5cm
- 正価/price売却済-sold-
金無垢地に親子獅子を象った目貫である。二疋獅子とも呼ばれる意匠で、仲良く揃って駆ける獅子の姿が愛らしい。片方が口を大きく開け舌を見せ、一方は口を閉じる阿吽の相をとる。
「阿」はサンスクリット語の最初の音で「吽」は最後の音である。「お互いに切り離せない一対のもの」であり、「万物の根源、宇宙の始まりから終わり」を顕すともいわれている。
百獣の王、黄金色に輝く体毛と、見事なたてがみ。
旧世界では広く生息していたといわれるライオン。古くは師子と書かれ、百獣の王という元来の意味を踏襲し、
サンスクリット語での呼び名siṃhaの意訳となる。
狩りをする姿は獰猛で、その鋭い牙と爪は獲物を放さない。
ライオンを倒した狩人は英雄となり、王が生まれる。
シュメールの伝説的な王ギルガメッシュはライオンと共に描かれる事が多い。
古代メソポタミア、文明の始まりから現代まで刻まれ続けるライオンの姿。
実際に目にすることのなかった日本の地にもライオンの勇姿は伝わる。
飛鳥時代の宝物、法隆寺、四騎獅子狩文錦がその一つである。
パルティアンショットと呼ばれるササン朝ペルシャの典型的文様である。
トルコ、ネムルットダウ世界遺産にある大きな獅子と星のレリーフは、
太陽をモチーフとした毛卍文が描かれた獅子の意匠そっくりである。
遠く離れたペルシャから、様々な国と宗教と時代を引き連れて獅子は日本へと到達したのである。
本作、観賞にも拵にもお勧めできる逸品である。