刀装具【鐔・縁頭・目貫・小柄】 鉄地吉野川図(流水に桜)鐔 - Tetsu ji Yoshinogawa zu (Ryusui ni Sakura) -
- 縦/height7.7cm
- 横/width7.05cm
- 厚み/thickness0.3cm
- 重量/weight107g
- 正価/price売却済-Sold-
川面を流れる桜花。「吉野川」という意匠である。
流れているのが、紅葉であるならば「龍田川」という意匠になる。
吉野の山は古より桜の名所である。何千もの桜木が一斉に花開くさまは圧巻である。 それはもう桜に見えず、雲にも霞にも喩えられるほど、まごう事なき絶景である。
満開の桜はあっという間に花を散らす。 水面に散った花びらが連なって流れる様子を筏に見立て、花筏と呼ばれる頃はまだまだ桜も美しい。 そんな時間も足早に過ぎ、ひとひら、ふたひらの桜が川面にたゆとう。 さきほどまでの喧噪はどこへ行ったのか。流れる桜のひとひらに侘しさを感じたりもする。
鉄地に片切り彫りで水の流れを、浮かぶ桜は赤銅と金色絵で、銀露象嵌がきらりと輝く。 情緒あふれる一枚である。
「惜しまれながら散る。だからこそ桜は素晴らしいのでしょう。 この無常の世の中で、いったい何が長く変わらずにあることができましょう。 永遠に続くものなどありはしませんよ。」
吉野の山は古より桜の名所である。何千もの桜木が一斉に花開くさまは圧巻である。 それはもう桜に見えず、雲にも霞にも喩えられるほど、まごう事なき絶景である。
満開の桜はあっという間に花を散らす。 水面に散った花びらが連なって流れる様子を筏に見立て、花筏と呼ばれる頃はまだまだ桜も美しい。 そんな時間も足早に過ぎ、ひとひら、ふたひらの桜が川面にたゆとう。 さきほどまでの喧噪はどこへ行ったのか。流れる桜のひとひらに侘しさを感じたりもする。
鉄地に片切り彫りで水の流れを、浮かぶ桜は赤銅と金色絵で、銀露象嵌がきらりと輝く。 情緒あふれる一枚である。
よのなかに たえて桜のなかりせば 春のこころはのどけからまし 在原業平(右馬寮の長官)
返歌
散ればこそ いとど桜はめでたけれ 浮き世になにか久しかるべき 詠み人知らず
返歌
散ればこそ いとど桜はめでたけれ 浮き世になにか久しかるべき 詠み人知らず
伊勢物語八十二段 渚の院より
「もともと長閑であるはずの春なのに、桜が咲くのを今か今かと待ち望み、咲けば咲いたで浮かれ騒ぐ。
散りゆく桜を見ては嘆き悲しむ。ちっとも心穏やかに過ごせやしない。
もしも桜さえなかったならば、春はもっと平穏に過ごせるだろうに。」
「惜しまれながら散る。だからこそ桜は素晴らしいのでしょう。 この無常の世の中で、いったい何が長く変わらずにあることができましょう。 永遠に続くものなどありはしませんよ。」