刀装具【鐔・縁頭・目貫・小柄】 鉄地源氏車透蔦に蜘蛛図鐔- Tetsu ji Genji-guruma sukashi Tsuta ni Kumo -
- 縦/height8.4cm
- 横/width7.9cm
- 厚み/thickness0.45cm
- 重量/weight150g
- 正価/price売却済-Sold-
なんとも素敵な鍔である。
うち捨てられた御所車の車輪から四方八方へ絡み合いながら蔓を伸ばす蔦。手前に大きな蜘蛛が美しい網を張る。
御所車は平安貴族が外出に用いた富と権力を象徴する器物である。 車の輪が廻るが如く、人の世は廻る。如何に栄華を極めたものも、今はひっそりと蔦の伸びるまま。 蔦はその力強い生命力から繁栄と不滅を、車輪も蔦も共に「繰り返し」を象徴する。 銀色に伸びる蔓は轅のようにも、蔦の葉は屋形のようにみえなくもない。 人が訪れなくなった場所や、使われなくなったものにかかる蜘蛛の網。 空に向かって吐き出された蜘蛛の糸は風にのって浮遊し、その生息地を広げる。 糸遊(いとゆう・かげろう)とも詠まれる美しい情景。 雅で繊細な、儚い蜘蛛の糸。脆く移ろいやすい束の間の美。
本作、良く練られた鉄地に車を透かし、耳は鋤残し土手耳に仕立て、蜘蛛の糸や蔓は線象嵌、蔦の葉は黄金と青金、蜘蛛は体を金、足を銀で布目象嵌が施されている。蜘蛛の下になっている糸の部分も色を変えるという凝った造り。とても風雅な一枚である。
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす
奢れる人も久しからず ただ春の夜の夢の如し 猛き者も遂には滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ
奢れる人も久しからず ただ春の夜の夢の如し 猛き者も遂には滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ
平家物語 第一巻「祇園精舎」より
御所車は平安貴族が外出に用いた富と権力を象徴する器物である。 車の輪が廻るが如く、人の世は廻る。如何に栄華を極めたものも、今はひっそりと蔦の伸びるまま。 蔦はその力強い生命力から繁栄と不滅を、車輪も蔦も共に「繰り返し」を象徴する。 銀色に伸びる蔓は轅のようにも、蔦の葉は屋形のようにみえなくもない。 人が訪れなくなった場所や、使われなくなったものにかかる蜘蛛の網。 空に向かって吐き出された蜘蛛の糸は風にのって浮遊し、その生息地を広げる。 糸遊(いとゆう・かげろう)とも詠まれる美しい情景。 雅で繊細な、儚い蜘蛛の糸。脆く移ろいやすい束の間の美。
本作、良く練られた鉄地に車を透かし、耳は鋤残し土手耳に仕立て、蜘蛛の糸や蔓は線象嵌、蔦の葉は黄金と青金、蜘蛛は体を金、足を銀で布目象嵌が施されている。蜘蛛の下になっている糸の部分も色を変えるという凝った造り。とても風雅な一枚である。
※御所車の車輪部分だけを意匠化したものを源氏車と呼び、流水と組み合わさると片輪車と呼び方が変化する。