刀装具【鐔・縁頭・目貫・小柄】 赤銅槌目地三日月に蝙蝠図縁頭小尻
- Shakudo tsuchime ji Mikazuki ni Koumori zu Fuchi&Kashira&Kojiri -
- 縁縦/Fuchi.height3.55cm
- 縁横/Fuchi.width2.05cm
- 縁厚み/thickness1.3cm
- 頭縦/Kashira.height3.15cm
- 頭横/Kashira.width1.6cm
- 小尻縦/Kashira.height3.4cm
- 小尻横/Kashira.width1.7cm
- 正価/price売却済-sold-
赤銅を槌目に仕立て、高彫りで蝙蝠を描く。金色絵象嵌が施された蝙蝠には大変細やかな線彫りが施されており、蝙蝠の足は銅で象嵌されている。縁の反対側には三日月が銀平象嵌で描かれ、金小縁で仕上げる。頭の蝙蝠は大きく口を開け、阿の相を持ち、縁の蝙蝠はしっかりと口を閉じ、吽の相を表す。夜行性の種が多いため、本作のように月と組み合わせて意匠化されることも多い。また、赤銅蝙蝠図金小縁の離れ小尻も付属しているが、縁頭と同一の作ではない。
中国では蝙蝠は蝠と福の音が通じることから富貴の象徴、吉祥文様の一つに数えられる。また古来より長い歳月を経た鼠が蝙蝠に変ずると、長寿の象徴でもあった。初学記という唐時代の書物には「玄中記曰 百歳之鼠 化為蝙蝠」や李太白集「答族姪僧中浮贈玉泉仙人掌茶」序文には「按仙経 蝙蝠一名 仙鼠 千歳之後 體白如雪 棲則倒懸 蓋飲乳水 而長生也」との記述がある。 日本では江戸時代後期、七代目市川團十郎が蝙蝠の姿を衣装や小物に積極的に取り入れ、成田屋好みの文様の一つとなったことで、かなり流行っていたようである。
中国では蝙蝠は蝠と福の音が通じることから富貴の象徴、吉祥文様の一つに数えられる。また古来より長い歳月を経た鼠が蝙蝠に変ずると、長寿の象徴でもあった。初学記という唐時代の書物には「玄中記曰 百歳之鼠 化為蝙蝠」や李太白集「答族姪僧中浮贈玉泉仙人掌茶」序文には「按仙経 蝙蝠一名 仙鼠 千歳之後 體白如雪 棲則倒懸 蓋飲乳水 而長生也」との記述がある。 日本では江戸時代後期、七代目市川團十郎が蝙蝠の姿を衣装や小物に積極的に取り入れ、成田屋好みの文様の一つとなったことで、かなり流行っていたようである。
此四五年前より、蝙蝠のはやる事夥し、夏衣の染模様はさらなり、簪のさし込、くしのまきえ、手拭などやうのもの、かふもりならざるはなきやうなり、又三すじ格子の縞をつける、此縞を地につけて、それに蝙蝠の飛るかたちをえがくが多し、是は市川團十郎が紋より出たるなり、かれが紋に一輪牡丹を用ふ、是を福牡丹という、「此ぼたんをつけるは、助六という役を勤る事、かれが家の役なりというより、転じてかれが紋の如くなれるなり、」この福牡丹の福の字を蝠にとりなして、蝙蝠の紋につけしより、かく流行いたせしなり、又三すじ格子は家紋の三枡を格子にとり、崩してかくせしなり、今も猶廃らず行はる。
寝ぬ夜のすさび 巻三「蝙蝠の模様」より 片山賢著 文政末年より弘化年代